復興庁は12日、「東日本大震災からの復興の状況に関する報告」を国会に行った。この報告は復興基本法に基づき、復興庁が廃止されるまで毎年行うもの。網羅的に復興を捉える良い資料であり、今回はこのレポートについて考察したい。
レポートでは復興を、被災者支援、地域づくり、産業・雇用、原子力災害の4つに分類し、その進捗をまとめている。住宅や高台移転を含む公共インフラの整備や、産業用の施設復旧、原子力災害関連では避難指示区域の見直しが完了など、いずれの分類においてもハードの事業における成果が目立つ。
一方、課題としては地域コミュニティの強化や産業・商店街の復興、風評被害の克服など、ハードの上に乗るソフト的な取り組みが並んでいる。行政として、何が得意で何がそうでないのかが明確に見て取れる。
この課題の対応策として進められている政策が「新しい東北」だ。交付金を活用して被災市町村の復興を支えてきたが、限界もある。そこで、ソフト分野に取り組む民間の動きを積極的にサポートすることで、行政が不得意な課題を補おうとしている。そのために今年度は66のモデル事業を選び、9億円を拠出した。また「WORK FOR 東北」を通じて、主にソフト分野の取組みに対して民間人材をつなぐ取組みを進めている。
12月からは「『新しい東北』官民連携推進協議会」が設立され、情報面での連携も進められる。行政の事業を民間に委託する事例は多いが、事業を生み出すための枠組みを創ろうとの試みは画期的と言える。今後に期待したい。
ハード整備が進み、ソフト面での課題解決が求められる今後の復興において、民間の力の重要性がますます高まっていく。こうしたレポートから国の状況を理解し、そこから自らが果たすべき役割を考える。国に過度に期待するのではなく、逆に民間から行政を活用するような動きが生まれていくことが期待される。
文・図/RCF復興支援チーム・藤沢烈
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